中国史【古代秦漢三国】
阿部幸信著
漢代の天下秩序と国家構造 目次抄
序 章 前漢時代における内外観の変遷
第一章 漢初「郡国制」再考
第二章 漢初の天下秩序に関する一考察
第三章 漢初における諸侯王と礼・法
第四章 武帝期・前漢末における国家秩序の再編と対匈奴関係
第五章 漢朝の「統治階級」について
第六章 周漢間の君臣関係について
終 章 漢代秩序構造概観
附章一 燧 人 考
附章二 追憶されるもの―思考の様式としての古代
あとがき/索 引
中文目次・要旨/英文目次・要旨
A5判上製 352ページ 2022年11月刊 ISBN978-4-87636-473-2
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戸内俊介著
《第47回 金田一京助博士記念賞受賞》
上古中国語は広義には前漢以前の中国語の総称である。中国の言語資料が殷代甲骨文より始まることに鑑みれば、その時間的幅は極めて広い。加えて、資料の性質も多種多様である。本書はより一般性の高い中国語文法史記述に向け、こうした上古中国語内部の言語の変化、とりわけ機能語に重点を置き、伝世文献・出土文献の両方面から、その歴史的発展を検証したものである。(「はじめに」より)
序章
文法化とは何か╱中国語史における文法化研究の現状╱本研究の目的と構成╱本研究で用いるコーパスとその時代区分╱古文字資料の隷定及び凡例
第一章 殷代中国語における「于」の文法化プロセスー時間介詞用法を中心に
時間介詞「于」の未来時指向╱「于」の空間表現における文法化╱「于」の時間領域への拡張╱「于」の文法化プロセス
第二章 上古中国語の「NP而VP」/「NP1而NP2VP」構造の表現機能とその成立
問題の存在╱コーパス╱接続詞「而」の基本的機能╱「而」前後項の意味的関係╱「NP而」文の表現機能╱前項NP/NP1の指示特徴と文法機能╱「而」の文法化
第三章 上古中国語における非現実モダリティマーカーの「其」の通時的展開
{其m}の古文字資料中の表記╱上古中期における非現実モダリティマーカーの{其m}╱西周時代における非現実モダリティマーカーの{其m}╱殷代における非現実モダリティマーカーの{其m}╱上古における{其m}の通時的展開
終章╱参考文献╱引用版本及び簡称╱あとがき╱索引
A5判 230頁 2018年2月発行 ISBN978-4-87636-420-5
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田中靖彦著
文化現象としての三国志像は、古今を通じて中国を表す鏡であり、古の中国を分析する恰好の材料であると同時に、現在と今後の中国を知るための手がかりとなるというのが著者の視点。陳寿の時代から宋代までの三国志をめぐるさまざまな言説について分析し、その時代性と、三国志観が次第に正統の概念と深く関わるようになる経緯を考察する。
序章
問題提起/先行研究および既存の三国志像と、本書の視座/「正統」の語について
第一章 陳寿の尊晋と『三国志』
陳寿の生涯と同時代評価/陳寿の三国描写/陳寿の「不遇」と『三国志』/『三国志』の示した意義
第二章 『後漢書』荀彧伝と范曄の「天下三分」観
荀彧の「漢の忠臣」化/范曄の三国論
第三章 再士官への希望と曹操評価―『漢晋春秋』の「蜀漢正統論」について
両晋南北朝期の三国人物論/初の「蜀漢正統論」とその実態/曹操に投影された桓温の影
第四章 江東寒門の怨念と孫呉正統論の挫折―干宝『捜神記』を中心に
孫呉正統論の胚胎/干宝と孫呉/于吉と干吉
第五章 『世説新語』の三国描写と劉義慶
『世説』は蜀漢正統論の書か/『世説』と三国正統論/名門の称揚と反曹/『世説』撰者は誰か/文帝の皇弟抑圧と「皇弟」劉義慶/ふたりの「文帝」/司馬炎への批判的筆致と『晋書』/「皇弟」と潁川荀/『世説』の編纂時期と劉義慶
第六章 唐代における史学の展開と三国論
曹魏の位置づけと禅譲/李世民と曹操/『史通』の曹魏描写と劉知幾の唐朝観
第七章 澶淵の盟と曹操祭祀―真宗朝における「正統」の萌芽
北宋朝の曹魏尊崇/『冊府元亀』の三国正統論/真宗朝の曹操尊崇/三国志観の一大画期
第八章 宋代における三国論の展開と「正統」
北宋中期以降の三国論/正統論の確立者/蘇軾と三国志観の過渡期/『資治通鑑』に見る三国の「正統」/二程から朱熹へ/宋儒の三国観と孟子受容/「正統」の語について
終章
まとめ/三国志観の画期と「正統」/中国を映す鏡としての三国志
文献表/あとがき/索引
A5判 364頁 2015年7月発行 ISBN 978-4-87636-397-1
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佐藤武敏著
恋愛歌、生活苦の詩、車馬の詩、農事詩といったそれぞれのテーマ詩とそうした詩が生まれた地域社会のかかわり合いとを追求。それぞれの詩の問題を社会史の方法から考察する。
「詩 経」は中国の文学では最も重要な古典であることはいうまでもないが、それとともに中国の歴史学においても古代の歴史や社会をつたえる貴重な資料である。こ のことはこれまで多くの研究者によって注目され、歴史研究や歴史叙述に利用されてきたところである。・・・本書は詩歌の訓詁については独自の考証は少な く、先学の説によるところが多いが、詩歌の主題、つまり各詩歌はどういうことを歌ったものであるか、また各詩歌はどのような地域社会を背景に生まれたもの であるか、ということに重点をおいて考察を試みたものである。(本書「あとがき」より)
まえがき
第一章 恋愛詩と地域社会
はじめに/鄭風の恋愛詩/衛風の恋愛詩/鄭風・衛風恋愛詩の特色/恋愛詩と鄭・衛の地域社会/陳風の恋愛詩とその特色/恋愛詩と陳の地域社会/附 中国古代の俗楽―鄭声を中心に
第二章 魏風に見える生活苦の詩と地域社会
魏風に見える生活苦の詩/魏風の地域社会
第三章 秦風に見える車馬の詩と地域社会
秦風に見える車馬の詩/秦風の地域社会
第四章 豳風(ひんぷう)に見える農事詩と市域社会
はじめに/頌・雅の農事詩/頌・雅の農事詩の地域社会/豳風七月の詩/豳風の地域社会
史料と参考文献
あとがき
A5判 298頁 2014年6月発行 ISBN 978-4-87636-378-0
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原 宗子 著
現行“管子”書を全体として尊重し、特に地員篇に対し土壌学、農学、植物学などの方法と知識とを援用して分析と考察を加え、古代の斉の国の人々の労働と生活を浮かび上がらせる。新しい手法による管子研究。
序章 『管子』研究の現状と課題
『管子』研究の出発点/いわゆる管子四篇の研究状況/『管子集校』の功罪/『管子』研究の当面の課題
第一章 土壌序列と五声配置
地員篇の研究状況/五声付記の意味/地下水位と適作種/高地下水位五種の土壌実態/土壌序列の示す自然改造志向
第二章 樹木の選択に見る開発への視座
土壌と樹木の二つの関係/「山」に生える樹/開発地での選択樹種/「三土」の樹木/『管子』全書の樹木観/樹木と「国」策
第三章 「草」の実態と意義
「草」と地下水位/「雚」と「萑」の位置/「肅」はヨモギか/三種の水草/「山」にある草/「雑草」という概念/「羣薬」の実態と表記法/「五臭」の記述/非粮食草類の栽培/『管子』全書の「草」への視角
第四章 種えつけるもの―粮食
問題の所在/「秀」無き「粮食」/特徴ある茎葉/「秀」を持つ「粮食」/「三土」の種/『管子』中の粮食作物
第五章 麻をめぐって
地員篇における麻の存在/紡織は「女事」か/『商君書』の衣料生産観/『墨子』の衣料生産観/『孟子』の衣料生産観/『管子』全書の衣料生産観/麻生産と絹生産の労働形態
第六章 「九州之土」の実態
「九州」とはどこか/五粟・五觳・五鳧/五沃・五?・の「?」字/五沃・五剽の「剽」と「芬」/五沃の「斥」と五浮・五殖の「坼」/五位・五?・五壌と腐食/地員篇の評価基準
第七章 「ヤマ」と丘陵地帯
問題の所在/墳延と陜・陵・山/「得べからざる」地下水/土質・産物による命名か/地勢・山容による命名か/どこで井戸を掘ったか/牧畜・鉱山と山東
終章 地員篇が示す『管子』の本質
地員篇の叙述対象地域/地宜と産業構造/地員篇の筆法/「差異」の必要性/『管子』の成立
A5判 464ページ 2001年11月初版第2刷発行 ISBN 978-4-87636-121-5
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原 宗子 編
「黄土」への誤解を正し、古代の環境変化と、その社会・経済的機能を分析。集中的穀物栽培による森林消失が「黄土」を生んだ経緯および中国「農本」主義の内容を解明。
〈目次より〉
中国土壌研究の世界経済史的意義
古代の涇水流域―豳風「七月」の世界
商鞅変法の環境史的意義
「農本」主義の採用過程と環境
「耰」について―旱地農法の発生
大規模渠水灌漑の成立事情と有効性
代田法の実態と意義
『氾勝之書』農法の成立基盤と「黄土」の出現―「草地」欠如を軸に
「大田穀作」主義の古代的極限―尹湾漢墓木牘「集簿」から
A5判 506頁 2005年2月発行 ISBN4-87636-245-9
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中国古代史研究会編
巻頭文
中国古代史研究会発足時の思い出 佐藤武敏
第三論文集刊行のころ 小倉芳彦
論文
里耶秦簡の治獄について 池田雄一
統万城と代来城の地理的関係から見る匈奴鉄弗部の活動範囲 市来弘志
李柏文書の性格をめぐってー李柏文書断片群を中心に 伊藤敏雄
南陽の六門陂をめぐって 大川裕子
秦漢簡牘史料再考二題 太田幸男
中国古代国家論 楠山修作
戦国封君ー王権構造の一側面 小林伸二
刖者の力ー古代中国における門番についての一試論 齋藤道子
那珂通世の中国通史認識 佐藤武敏
中国古代の養生思想 清水浩子
殷王朝の集権機能ー武丁期を中心に 末次信行
中国古代の家族墓地ーその構成と配列について 高浜侑子
『群書治要』所引の二篇の『中論』佚文について 多田狷介
『尚書引義』にみえる王夫之の『詩経』論 富田美智江
出土資料「堪輿」考 名和敏光
古代中国における経済地理的境域区分について 原宗子
伏氏考 藤川和俊
『史記』平準書の歴史観ー八書の意図をめぐって 藤田勝久
漢代の救恤政策についてー『罷●』を中心として 藤田忠
『農言著実』からみた華北農業ー陜西省三原県農業調査記 村上陽子
放馬灘秦簡「日書」に見える音律占について 森和
中国古代における鳩の表象 矢島明希子
簡牘にみえる帰義について 山元貴尚
資料
写真╱中国古代史研究会の歩み 佐藤佑治╱あとがき╱執筆者紹介
A5判箱入 464頁 2017年11月発行 ISBN978-4-87636-429-9
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袁 清林 著/久保 卓哉 訳
生態と環境を保護する思想とその理論の歴史を中国古代以来の雄大なスケールで叙述した≪中国環境保護史話≫の全訳。序論の他、古今の環境の変遷、古代の環境保護意識、古代の環境保護、の三編に分け論述。
日本語版への序(袁清林)
なぜ中国環境保護史を研究するのか/中国の自然地理の特性とその歴史/環境と環境保護
第一編 古今の環境の変遷
中国の原始人類の環境/森林の変遷/有史期の水土流失/砂漠化の歴史/有史期の湖沼消滅と河道の変遷/有史期の気候の変遷と種の絶滅/環境の変遷の歴史とその原因分析
第二編 古代の環境保護意識
素朴な古代の生態学/先秦環境保護思想の源流/秦以後の環境保護思想の発展/環境と健康に関する古代の認識
第三編 古代の環境保護
環境保護制度/環境保護法令/植樹と造林/都市の水道と下水/古代の国土と環境整備/苑囿園池の保護/名勝古蹟の保護/環境をめぐる闘争
A5判 406頁 2004年3月発行 ISBN 978-4-87636-228-9
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堀 敏一 著
貧乏人から身を起こし、漢帝国を成立させるまでの劉邦とその部下たちの活躍を、学問的レベルを保ちつつ平易に活写する。
〈目次〉
一 亭長時代の劉邦
劉邦はどんな人か/亭とは何か/秦末・漢初の地方政治/亭長としての劉邦/劉邦、群盗になる
二 民間勢力の蜂起と秦帝国の打倒
陳勝・呉広が旗揚げする/劉邦が挙兵する/項梁・項羽も挙兵する/項羽・反乱軍の指揮者となる/劉邦、関中へ進撃する/劉邦、関中に入る―法三章/鴻門の会/項羽、咸陽を屠る
三 劉邦と項羽の天下争奪
項羽の天下配分策/劉邦の東進と漢帝国の萌芽/劉邦と項羽の決戦はじまる/滎陽・成皋の攻防/韓信の活動/広武山での対決/劉邦、和議を裏切る/垓下の歌
四 漢帝国の経営―皇帝となった劉邦
劉邦の皇帝即位/皇帝としての儀式と教養/国都の選定/功臣たちの処遇―列功/功臣たちの処遇―諸侯王/異姓諸侯王の反乱と廃除/劉氏の非ざれば王たらず/匈奴との戦争と平和/法体制の整備
五 劉邦の死前後
大風の歌/劉邦の死/蕭何以後の宰相と黄老思想/後継問題と呂后の復讐/呂氏政権と劉邦功臣の決起
4・6判 234頁 2004年4月発行 ISBN 4-87636-230-0
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小倉芳彦・小島晋治 監訳
中国を代表する歴史家顧頡剛が初学者に向けてやさしく語った中国学概論を整理。中国の史書、経学・漢学・史料学と考古学の結合など十一のテーマを厳選し、独自の見解も盛り込んで編んだユニークな入門書。
〈目次〉
中国の史書
二十四史/『史記』/『漢書』『後漢書』/史書続談
雑史
漢朝の雑史/六朝の雑史/唐朝の雑史/宋代の雑史/元代の雑史/明代の雑史/清朝の雑史
経学・漢学
清代における古学の整理―考証学
史料学と考古学の結合
中国古代社会の概要
「中国」、「中華民族」の起源
中国の文学史概観
中国宗教史の概略
中国哲学史の概略
中国歴代の首都と北京小史
原注/後記(何啓君)/修訂再版後記(何啓君)/校訂後記(王煦)
解説(小倉芳彦)/解説補記―重版に際して(小倉芳彦)
4・6判 266頁 1987年1月発行 ISBN 4-87636-071-5
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