中国史【上海史】
高綱博文・石川照子・竹松良明・大橋毅彦編
日本占領下における上海の邦文・中文・欧文の新聞・雑誌メディアの実態を「多言語横断」・「多領域横断」な視点から多角的に分析し、種々のイデオロギーが交錯し、政治的な矛盾が入り乱れ、グレーゾーンといわれる上海メディア空間のあり方を考察する。
まえがき 高綱博文
1 メディアにおける「グレーゾーン」
戦時上海のグレーゾーンと女性メディア―『上海婦女』を通して 石川照子
『大陸新報』の汪精衛政権批判記事と検閲体制 堀井弘一郎
『大陸新報』連載小説にみるグレーゾーン―小田嶽夫「黄鳥」を中心に 戸塚麻子
日本占領期唯一共産党が指導した学生雑誌―戦争末期の上海『莘莘月刊』をめぐって 趙夢雲
《窓》と《繁星》―文学者・室伏クララのために 大橋毅彦
映画『萬世流芳』論―花木蘭から張静嫻へ 邵迎建/蟹江静夫訳
占領下の上海と戦後の香港―映画における繋がり ポシェク・フ―/西村正男訳
2 メディアにみる「帝国意識」
『申報』にみる靖国神社 馬軍/及川淳子訳
『上海日日新聞』と宮地貫道 竹松良明
第二次上海事変を中国のメディアはどう伝えたか―『申報』の「淞滬戦時」報道を中心に 徐静波
帝国日本の戦時上海への「まなざし」―上海観光メディアを中心に 高綱博文
3 メディア空間における「国際都市」
『ノース・チャイナ・ヘラルド』にみる日本人の表象 藤田拓之
『ノース・チャイナ・ヘラルド』・『ノース・チャイナ・デイリー・ニュース』が報じた上海の民族問題―ドイツ・オーストリアからのユダヤ避難民を中心として 関根真保
海派の刊行物と乱世の様々な姿―『永安月刊』(一九三九~一九四五年)を例として 陳祖恩/及川淳子訳
上海漫画家クラブとその周辺―「大陸新報」掲載記事を手掛かりに 木田隆文
あとがき 高綱博文
A5判 372頁 2016年10月発行 ISBN978-4-87636-412-1
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森平崇文著
中国の演劇は中華人民共和国の誕生を契機として発展 し更に輝きを増したのか、それとも衰退してその魅力を失っていったのか。俳優の社会的地位に関してはそれまでの賤業従事者から人民芸術家へと大きく向上し ており、確実に好転したといえる。では俳優の技術や演目の芸術性といった舞台芸術の側面や、劇団や劇場、観客や政策など演劇をとりまく環境においてはどう であったのか。本書はこの問いに対する回答を上海の特定の劇種や演目、劇団等を問題史的に検証することを通じて導き出すことを目的としている。(本書「序 章」より)
序章
「建国後17年」と演劇改革/1949年前後の上海演劇界
第1章 「阿飛」と「阿Q」―1950年代の滑稽戯
「阿飛」と上海の不良たち/「阿飛戯」の流行―1950年5~6月/滑稽戯版『阿Q正伝』―1956年11月/「阿飛戯」復活―1957年6~7月
第2章 華東戯曲研究院と上海演劇界
文工団から戯曲研究院へ/組織とその再編/附属劇団、コンクール、出版物/演劇史の整理と演劇界の再編―越劇を例に
第3章 淮劇とアマチュア演劇
1949年までの淮劇/1950年代上海におけるアマチュア演劇/淮劇と労働者
第4章 「大世界」から「上海人民遊楽場」へ―遊楽場の社会主義的改造
大世界の娯楽空間―二つの「大世界巡礼」/人民共和国成立と上海の興行界/「人民遊楽場」の誕生
第5章 北京越劇団の建団と撤退(1960-1961)
劇団の整理統合と各地への派遣/北京と上海、劇団と俳優/建団から撤退まで
第6章 「通俗話劇」以後の文明戯
1940年代の文明戯/社会主義的改造下の文明戯/通俗話劇と方言話劇
終章
あとがき/初出一覧/参照文献一覧/索引
A5判 206頁 2015年3月発行 ISBN978-4-87636-395-7
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岩間 一弘 著
辛亥革命前夜の十年間に生起した日中関係史上の十二の重要テーマを摘出し、原資料の博捜・考察により独自の解釈を提示する。
〈目次〉
序論 |
上海近代への視点 ホワイトカラーの登場と新中間層の形成/新中間層の日常生活と社会意識/ホワイトカラーの公共性と社会統合/ホワイトカラーの政治参加と国民統合―職能代表制の展開/本書の課題・特色・史料 |
第1章 |
ホワイトカラーの生活状況と階層認識 課題の設定/両大戦間期の都市中間層をめぐる議論/新中間層に関する調査/顧准の認識/共同租界工部局の工業社会処による調査/上海における新中間層の形成過程の特質/戦時・戦後の新中間層/小結 |
第2章 |
人事記録にみるホワイトカラーの経歴・家族・余暇 課題の設定/銀行員の経歴/銀行員の家族と女性行員/企業職員の余暇/小結 |
第3章 |
商業教育の中国化・大衆化と新中間層形成―国立上海商学院を中心に 課題の設定/中国における商業教育の成立と展開―高等教育を中心に/商業学校の人材育成と新中間層形成/中国近代における工業教育の発展/小結 |
第4章 |
科学的管理の導入とホワイトカラーの抵抗・服従―一九三〇年代の康元印刷製罐廠と商務印書館を中心に 課題の設定/中国における科学的管理の受容と普及/項康原と康元印刷製罐廠の科学的管理/王雲五と商務印書館の科学的管理/経営者・職員・労働者にとっての科学的管理/小結 |
第5章 |
主婦・職業婦人の誕生とマスメディア 課題の設定/都市女性の階層感覚/家庭・職業・革命/主婦と職業婦人/進学・就職・結婚/小結 |
結論 |
ホワイトカラーの階層意識と生活実態のずれ 本書の要約/中国の近代化と近代性の中国化/格差へのまなざしと揺れる新中間層の形成 |
A5判 480頁 2011年9月発行 ISBN978-4-87636-327-8
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菊池 敏夫 著
一九一〇年代から五〇年代に上海の南京路にあった香港・広東資本の四つの百貨店を取り上げ、その小売業などの諸活動が上海の都市発展にどのように関係したかを社会文化史的視点から分析する。
〈目次〉
序章 |
問題の所在 |
第一章 |
香港、広州の百貨店―先施百貨公司を中心に |
第二章 |
上海における百貨店の創成 |
第三章 |
民国期上海における百貨店の誕生と都市文化 |
第四章 |
戦時上海の百貨店 |
〈補論〉 |
日本資本百貨店の上海進出 |
第五章 |
民国期上海における四大百貨店の広告活動と都市の発展 |
第六章 |
建国前後上海の百貨店―商業空間の広告 |
終章 |
南京路における百貨店の商業活動/南京路四大公司の都市文化・娯楽機能/残された課題 |
A5判 308頁 2012年2月発行 ISBN978-4-87636-333-9
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髙綱 博文著
五・三〇運動期、上海事変期、日中戦争期、アジア太平洋戦争期など日中間の矛盾が顕在化した時期の近代上海における日本人の活動と意識のあり方を歴史具体的に明らかにし、その歴史的意義を考察する。
〈目次〉
第一章 上海日本人居留民社会
第二章 上海「在華妨」争議―一九二五年
第三章 上海事変と日本人居留民―一九三二年
第四章 日中戦争期の「上海租界問題」
第五章 上海内山書店小史
補論 内山完造の中国社会体験―『花甲録』・「内山漫語」を読む
第六章 上海日本人居留民の歴史意識の生成―沖田一の場合
第七章 最後の上海日本人居留民社会―上海「日僑集中区」の実態
第八章 上海日本人引揚者のノスタルジー―「わが故郷・上海」の誕生
A5判 416頁 2009年3月発行 ISBN978-4-87636-297-4
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日本上海史研究会編
“モザイク都市”上海の中華人民共和国成立前後の歴史的位相を日中の研究者十六名が解明する。
<目次>
総論 建国前後の上海―上海都市社会の歴史的位相(高綱博文・金野純)
Ⅰ 生活空間の再編 競馬場から人民公園・人民広場へ(熊月之/渡辺千尋訳)/「漢奸」告発運動からみる戦後上海の大衆社会(岩間一弘)/保甲制度から居民委員会へ(石島紀之)/戦後内線期から建国初期の衛生運動(福士由紀)/非合法堕胎から計画生育へ(小浜正子)
Ⅱ 経済空間の変容 上海における日本人居留民の引揚げと留用(山村睦夫)/貿易政策の激変と上海の広東人貿易商一九四二~一九五六(宋鑚友/今井就稔訳)/ 建国前後上海の百貨店(菊池敏夫)/統一戦線と反統一戦線(李培徳/泉谷陽子訳)/上海の会計士の改造と転業一九四九~一九五六(林美莉/福士由紀訳)
Ⅲ 上海文化の連続と転換 戦中戦後の上海における死の問題と居留民(Christian Henriot/秦惟人訳)/『正気の歌』から『文天祥』へ(邵迎建)/宗教政策と都市社会の変容(石川照子)/「断裂」と「延続」(姜進/森平崇文訳)
A5判 448頁 2009年6月発行 ISBN978-4-87636-300-1
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髙綱 博文 編
〈目次〉
総論に代えて 髙綱博文
Ⅰ 「国際都市」上海の支配と変容
日本占領下における「国際都市」上海―日本の上海外国人政策と外国人居留民状況 髙綱博文
戦時上海における敵産処理の変遷過程と日中綿業資本 今井就捻
日本占領下における上海都市管理体制の変遷 愈慰剛
日中戦争期における上海総領事館警察 孫安石
Ⅱ 戦時上海の都市文化
戦時上海百貨店と商業文化 菊池敏夫
戦時上海の聯誼会―娯楽に見る俸給生活者層の組織化と市民性 岩間一弘
上海「孤島」末期及び淪落時期の話劇―黄佐臨を中心に 邵迎建
日中戦争期における上海日本人学校―戦時徴用から戦時教育まで 陳祖恩
Ⅲ 抵抗・協力・グレーゾーン
「対日文化協力者」の声―陶昌孫を中心として 鈴木将久
日中戦争期上海の難民救済問題 小浜正子
日本の大陸政策と上海日本人YWCA―「文化政策」への協力と「国際主義」 石川照子
A5判 420頁 2005年4月発行 ISBN978-4-87636-246-2
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古厩忠夫中国近現代史論集
社会の現実に基づき、民衆の視座に立って書かれた八〇年代以降の作品を、三部に分けて収載。科学性と柔軟さと歴史的センスが結びつく古厩史学を開示。
<目次>
1. 日中戦争と上海
日中戦争・上海・私
上海-重層するネットワーク
五四期上海の社会状況と民衆
八・一三(第二次上海事変)と上海労働者
日中戦争末期の上海社会と地域エリート
2. 日本と汪精衛政権
汪精衛政権はカイライではなかったか
「漢奸」の諸相-汪精衛政権をめぐって
日本軍占領地域の「清郷」工作と抗戦
3. 私と東アジア
文化大革命と日本
学生デモにみる中国一九八六年
「表アジア」の「裏日本」
環日本海
A5判 516頁 2004年9月発行 ISBN4-87636-233-5
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榎本泰子著
≪99年度サントリー学芸賞・第4回日本比較文学会受賞≫
本 論の中心となるのは、一九二七年に上海に創立された中国初の音楽学校、国立音楽院(現在の上海音楽学院)と、それをめぐる人々である。・・・辛亥革命から 五四期、そして動乱の三〇年代へと大きく揺れ動いた中国が、西洋音楽という異文化をどのように受けとめたのか、これは単に音楽史の問題であるのみならず、 近代中国にとって西洋文化とは何だったのかを考察する手がかりとなる。(本書「はじめに」より)
第一章 西洋音楽の伝来と普及
キリスト教が運んだ音楽/日本留学熱と学堂楽歌
第二章 新文化運動の流れの中で
蔡元培の美育思想/時代の申し子・蕭友梅/北京大学附属音楽伝習所
第三章 楽人の都・上海
租界の音楽文化/国立音楽院の誕生/創作歌曲をめぐって(蕭友梅/趙元任/青主/黄自)
第四章 国楽はどこへ
中西音楽家の交流/グランド・チャイニーズ・イヴニング/左翼音楽家の登場/混迷する音専
終章 中国音楽史における一九三〇年代の意味
4・6判 320頁 1998年9月発行 ISBN978-4-87636-157-1
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