近代日本漢学資料叢書・近代日本漢籍影印叢書

三島 毅『中洲文稿』

近代日本漢籍影印叢書3

                       解題 牧角悦子

                          鈴置拓也

 

……そして、三島中洲は、日本漢文学がその歴史の中で最後の光芒を放った正にその時代の、いわば最後の文人の一人であると言えよう。その三島中洲における漢文学、特にその中でも「文」の持つ意味について、それを明治という時代とその文苑の中で捉えてみることができればと考える。

 三島中洲の文とは如何なるものであったかを概観するためには『中洲文稿』四集、全十二巻がその原資料となる。ここには碑文を中心に、若い修業時代から最晩年に至るまでの、講義録・研究書及び韻文以外の所謂「文」、三七七篇が収められている。まずは、この『中洲文稿』四集の順次に沿って、それぞれの時代、あるいは文体の代表的なものを随時紹介しながら、中洲の「文」の大略を窺ってみようと思う。(本書「三島中洲の文について―明治期における‶漢文″の意義― 牧角悦子」より)

 

 

    三島 毅『中洲文稿』 目 次

 

     刊行の辞  町 泉寿郎

   『中洲文稿』全四集    目次

   『中洲文稿』全四集    影印

   『中洲文稿』解題     鈴置拓也           

     解説 三島中洲の文について―明治期における‶漢文″の意義―  牧角悦子 

     附録  『中洲文稿』題目一覧

 

 A4判上製 488ページ 2023年3月刊 ISBN978-4-87636-477-0

 

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川田 剛『甕江文稿』

近代日本漢籍影印叢書2

                         解題 武田祐樹

                            町 泉寿郎

 

 

 本書は、川田甕江(一八三〇~一八九六)の文稿三種類を影印したものである。周知の通り、甕江は、三島中州(一八三一~一九一九)や重野成斎(一八二七~一九一〇)と並び称される、明治三大文宗の一人であり、東宮侍講という栄誉にあずかった漢学者でもある。かつ備中松山藩の藩政や諜報活動に従事した実務家である。さらに、明治政府にも出仕し、学問をもって政治に貢献した。ところが、これほど著名な漢学者であるにもかかわらず、甕江の文集は、現在に至るまで出版されておらず、甕江自身についても、研究の対象とされてこなかった。……要するに、甕江の文稿は、生前没後を問わず、複数の異なる人物や異なる経緯のもとに編纂が企図された。そして、それら全てが実を結ばずに終わったために、現在われわれは甕江の文集を手に取ることができない、という状態にあるらしい。

   これは、甕江の斯学における功績の大きさを鑑みれば、まことに遺憾である。このほど伝存する文稿の中でも、特に整備された形態の、三種類の文稿を一括で影印出版する。ひとえに、資料の存在を衆知せしむると共に、その活用に便あらしむることによって、日本漢学の成立と発展に寄与するものと信ずるが故である。(本書「解題」より)

 

    川田 剛『甕江文稿』 目 次

 

     刊行の辞   町 泉寿郎

     川田剛『甕江文稿』三種 目次

     『甕江文稿』(倉敷市立玉島図書館所蔵)

     『甕江文鈔』(二松学舎大学所蔵)

     『甕江川田先生文鈔』(国立国会図書館所蔵本)

     解 題    武田祐樹

     参考資料一 甕江文稿 三種及び草稿対照表

     参考資料二 川田剛辞令類翻印

   

  A4判上製 414ページ 2020年2月刊 ISBN978-4-87636-451-0

 

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木下彪 国分青厓と明治大正昭和の漢詩界

近代日本漢学資料叢書4

 

                        解題 町 泉寿郎

 

……以上、木下彪が長編の評論を通して明らかにしようとした事柄は、端的に言えば国分青厓という明治期の新聞人が漢詩と言う伝統的な表現手段を用いて、同時代の政治批評であると同時に文芸としても優れた作品を発表していたこと、かつそれが新聞という新しい媒体によって広く人々に享受されていたという事実である。国分青厓のみならず上述の多くの作者を輩出した明治期の漢詩は、漢字文化伝播以来の長い日本漢文学史の中でも稀有な高度の達成を示すものであると同時に、孤立したものではなく社会的に広く享受されたものであった。……このように見て来ると、「国分青厓と明治大正昭和の漢詩界」が近代漢詩とその時代の優れた評論たりえている理由を考える時、彪自身が漢詩作者としてまた京都支那学諸家との交流を通して中国古典詩を読解する高い能力を身に着けていたことに加えて、かつて新聞記者として満洲で活動し、また戦後も台湾との深い関係を有したような現代社会への高い関心や、国家と歴史に関する強固な視点がこれを成り立たしめたと思われるのである。(本書「解題」より)

 

       木下彪  国分青厓と明治大正昭和の漢詩界     目 次

   刊行の辞                 町 泉寿郎

   国分青厓と明治大正昭和の漢詩界      木下 彪

   解 題                  町 泉寿郎

   

  A5判上製 672ページ 2019年8月刊    ISBN978-4-87636-446-6

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加藤虎之亮『周禮経注疏音義挍勘総説』

近代日本漢学資料叢書3

 

加藤虎之亮(号天淵、一八七七~一九五八)は、研究面では『周禮経注疏音義挍勘記』を著したことで知られ、教育面では広島陸軍地方幼年学校・広島高師・青山師範・武蔵高校・東洋大学などで漢文を教え、のちに東洋大学学長や財団法人無窮会理事長などをつとめた。その一方、香淳皇后への進講(漢文学)や宮内庁御用掛、秩父宮・北白川宮家の進講に従事するなど、皇室との関わりが深かったが、加藤に関する先行研究は少ない。……加藤は近代教育を受けた世代であったが、三宅真軒とう考証学を奉じるやや特異な漢学者に師事して、彼自身も漢学の道に進み、研究面では『周禮』の挍勘という時間と労力と学力を必要とする地味な学業にその学者人生を捧げた。……これらの加藤の事績・学績は、近代の漢学の諸特徴を示すものであり、加藤は近代日本が生んだ漢学者のひとつの典型であるということができる。(本書「加藤虎之亮の事蹟」より)

 

 加藤虎之亮『周禮経注疏音義挍勘総説』 目 次

 

 刊行の辞                  町 泉寿郎

 加藤虎之亮『周禮経注疏音義挍勘総説』

 凡  例

 解  題                  野間 文史

 加藤虎之亮の事蹟              川邉 雄大

                       町 泉寿郎

 

 

 A4判上製横型 248ページ ISBN978-4-87636-445-9

 

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柿村重松『松南雑草』 近代日本漢学資料叢書2

解題 町泉寿郎

 ここに影印出版する柿村重松(一八七九〜一九三二)の遺稿『松南雑草』は、日本漢文学研究に先駆的な業績をあげた重松が約三十年間にわたって作った漢詩文・和歌・論説・注釈・資料等をほぼ時代順に自ら編集したもので、既刊の単行本や論文集から漏れた重松の諸作を収録する。

漢詩文・和歌は、こうした創作を公表することがなかった重松の実作者としての力量とともに、その交友を知る上で意義がある。論説・注釈・資料は重松の業績・学績を知る上で貴重な資料を提供する。(解題より)

A4判 276頁 2017年10月発行 ISBN 978-4-87636-428-2

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澤井常四郎『経学者平賀晋民先生』 近代日本漢学資料叢書1

解題 稲田篤信

 ここに覆刻したのは、近世中期の儒学者・平賀中南に関する澤井常四郎の著作『経学者平賀晋民』である。今日平賀晋民は儒学者と呼ばれるのが普通であるが、著者澤井常四郎が晋民を特に経学者というのには理由がある。中国古代の堯や舜、周の文王、武王といった聖人に関わる古典、『易』、『書』、『詩』、『礼』、『春秋』(以上を五経という)などに解釈を加える学問のことを経学と言い、晋民の学問の本領をここに見ているからである。晋民の著書には今は失われて読むことが出来ないものもあるが、『周易洗心解』、『尚書梅本弁説』、『詩経原志』、『礼記纂義』、『春秋稽古』など五経に関する著作があり、『春秋稽古』全八十一巻が示すように、晋民のライフワークが春秋学であり、経学者の称はまことにふさわしい。

 著者の澤井常四郎は広島県御調郡八幡村篝(現三原市八幡篝)の澤井家に明治四年に生まれる。昭和二十四年沒。三原市教育委員会のホームーページの「郷土ゆかりの人たち 沢井常四郎」また『三原志稿』に付された略歴によれば、澤井は小、中学校、女子師範学校の教師を歴任し、退職後の昭和三年三原図書館長に就任したが、その創設は澤井の創造的遺産であるという。澤井が蔵書約四千冊を現在の三原市立中央図書館に寄贈したことをはじめとして、安芸・備後の郷土文化に果たした功績は、言語に尽くせないものがあるという。

澤井常四郎は郷土の先賢が近代になって忘れさられ、世に埋もれたままでいることを憂い、本書を刊行したのである。八十七年後の今日、本書はわが国の近世経学史、学芸史になお大きな示唆を与える書として存在意義を失っていない。本書を覆刻して学界・読書界に紹介する所以である。(解題より)

A5判 678頁 2017年4月発行 ISBN 978-4-87636-422-0

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平賀中南『春秋集箋』 近代日本漢籍影印叢書1

翻刻・解題 野間文史

 ここに影印したのは、江戸時代中期の経学者平賀中南が公卿廣幡家の支援により、安永四年に刊行した『春秋集箋』巻三十四・三十五の二冊である。もともと全七十三巻を逐次刊行する計画が育ったと思われるが、この二冊のみで途絶したのはまことに遺憾なことであった。この書は日本人の手に成る『春秋左氏伝』全書に亘る注釈書としては、恐らく最初のものとなるはずであったからである。(解題より)

春秋集箋巻三十四 影印

春秋集箋巻三十五 影印

春秋集箋巻三十四 翻刻・訓読文(野間文史)

解題(野間文史)

平賀中南╱『春秋集箋』と『春秋稽古』╱『春秋集箋』巻三十四の構成╱『春秋集箋』巻三十五の構成╱中南の春秋観╱附論 中南の孟子批判への反響╱平賀中南年譜

附図「春秋稽古」三葉(二松學舍大学附属図書館蔵本)

あとがき(野間文史)

A4判 236頁 2017年4月発行 ISBN 978-4-87636-421-3

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